2002年3月2日(土) 富士川ワークショップ報告

 
 
2002年3月2日の土曜日に開催された、富士川ワークショップの模様を報告します。

午前10時開始  午後5時終了

当日の参加者
●インストラクターとして
 藤原尚雄 理事長

●受講生として
 (富士川広域分駐所所属)
  ウィリー祐一 理事
  佐野文洋 理事
  佐野信弥 正会員
  吉岡甲介 特別会員

  鈴木恵美子 非会員
  三橋裕隆 非会員(日本救難バイク協会 静岡県支部副支部長)

 (関東基幹支部所属)
  戸泉真治 正会員
  花田隆貴 正会員

  関部政彦 非会員


尚、当日の参加費は、JpSART会員=3,000円×6人  非会員=4,000円×3人
総収入=30,000がJpSART会計に繰り込まれ、当日の講師料、訓練ギア消耗量、交通費が講師に支払われる予定です。



本日の訓練目的としては、河川の急流部などで事故が起こった場合は急峻な場所であることが多く、事故現場へ到達するためや、実際の救助活動のためにはロープを使ってのバーチカル(垂直方向)なテクニックを必要とする事が多い。
2002年度のシーズンインを控え、JpSART会員の”Low to High Angle=緩・急斜面”における主にロープワークを使ったローツーハイアングルレスキューテクニック底上げの為に開催した。
なお、当日は非会員の3名も参加し、JpSARTの会員拡大活動も展開。



まずは、富士川広域分駐所が置かれているナチュラルアクションのベース前で講師の挨拶から始まりました。
藤原理事長いわく、「真剣な中にも、楽しみながら練習しましょう」

左=佐野文洋 理事
右=藤原尚雄 理事長

ベース前の庇の鉄骨を利用して、確保機やブレーキシステムの説明と使い方を徹底的にレクチャーしていきます。
午後の訓練では、いきなり斜度80度、落差8m程の斜面を懸垂降下(ディセンディング)する予定なので、参加者にも熱がこもります。

(左)まずは講師自らエイト環を使った、ブレーキシステムの説明。通常のエイト環では、自由にブレーキのフリクションをコントロールは出来るが、ロックするのにはめんどくさいことの説明

(左下)ペツルのIDの特徴説明。

(右下)ペツルのグリグリで遊ぶウィリー祐一


何でも実体験しなければ意味がない。参加者全員で色々なギアを使って確保の練習

ワークションプ当日に使用したギア各種
各種センダーから、エイト環、トランペット、ブレーキバーなどのブレーキシステム。



今度は場所をベース内に移動。天井の鉄骨にアンカーを取り、アセンディング、ディセンディングの練習。

(左)藤原氏が見本を示す。
アセンディング
 ・ペツルハンドセンダー右左用各1 ・カラビナ3 ・あぶみ2 ・デジーチェーン1
ディセンディング
 ・レスキューエイト1 ・カラビナ1

(右)参加者が交代中
 

 
午後からは訓練場所を新内房橋上流左岸側、通称「前釜」の間知ブロック積みの斜度80度、落差6m程の斜面に移し、実際のロケーションに近い形で実地訓練。
斜面に訓練用のスタティック12mmのロープを垂らし、全員が懸垂降下で斜面下まで移動。
まずは、藤原氏が自分の体を確保しながら斜面を登る手本を。

足の使い方や、手の使い方一つで、登る効率そして疲れ方が違ってくる。

続いて参加者全員で登ったり下りたり。



各種ギアを使った降下、登坂に慣れてきたところで、今度は斜面途中に何らかの理由で取り残されたビクテムの回収訓練。要救助者の所まで降下したあと、自分のハーネスとビクテムのハーネスをデジーチェーン等を用いてビクテムの体をビレーしたあと、自分側のロープ上部にスリングを使って(プルージック、オートロック)支点を作り、これにかけたカラビナをプーリーに見立てて長いループ状にしたウェビングを通し、片方をビクテムのハーネスにつなぎ、もう片方に片足で全体重を掛けながら、ビクテム側のロープにかかっているテンションを抜く。
この状態でビクテム側の確保機のロックをとき、ビクテムの荷重を自分側のロープに移し、あとはビクテムの体重を両足を斜面に対して突っ張ることよってコントロールしながら、自分のハーネスに付いたブレーキシステムによって降下してくる。

(左)手本を見せる藤原氏、ビクテム役は戸泉君
(右)今度は三橋氏がレスキューアー役で、ビクテム役の藤原氏



同じシチュエーションで、ビクテム側のロープを切った時に、どれだけ自分に衝撃が来るかの実体験。
まずは藤原氏が花田君をビクテム役にして見本を。もちろんビクテム側のメインロープを切るのはもったいないので、メインロープに使い古しのロープの切れ端で作ったスリングを介してビクテムを吊し、このスリングを切る。

(左)スリングを切った瞬間、ビクテムの荷重から解放されたメインロープは跳ね上がり、ビクテムの荷重がレスキューアーに襲いかかる。ちなみに、レスキューアーがビクテムを確保するのに使ったデジーチェーンがたるんでいればいるほど、その衝撃は大きくなる!(笑)
 
本日の流血第1号 花田隊員。当日はインフルエンザが抜けきらず、38度の熱を出しながら参加してくれましたが、家に帰って熱を計ったら39度オーバー........
お疲れさまでした。


今度はレスキューアー役に戸泉君、ビクテム役に藤原氏。
今まさにビクテム側のメインロープを切った瞬間!!
テンションの抜けたロープが写真右上に跳ね上がっている。

 
写真は取り忘れたのだが、実地訓練の最後に、斜面下に取り残されたビクテムを、斜面上にメカニカルアドバンテージを使って引き上げる訓練を。斜面上のガードポール支柱をアンカーに使い、ピグリグシステムを使って引き上げました。

このあと、ベースに戻ってから、パドルとメンディングテープを使った担架の作り方、そしてバックパックと傘を使ったビクテムの背負い方、20m程のロープで何重にもループを作り、それを8の字にしてビクテムの両足を通して背負う方法などの講義を受け、今回のワークショップは終了した。

報告書作成:JpSART理事 富士川広域分駐所所属 ウィリー祐一
 
 


 

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