2001年3月10日〜12日  L.H.A.Rescue体験レポート

 

JpSART-MLより

 
どもども、ウィリー祐一どえす。
L.H.A.Rescue体験レポートをまとめましたので、お暇でしたら、見てね!!
なお、文中に間違った表記があるかも知れませんが、ご愛敬!(笑)
やばい間違いがありましたら、やさしく(笑)個人宛メールでご指摘下さい。

ちなみに、JpSARTから参加したのは

●インストラクターとして
 佐藤、藤原、阿部、松田、宇山

●受講生として
 馬場、西川、大野、北村、寺田、ウィリー祐一、その他屋久島から1名、神奈川から1名の合計8名(敬称略)



先週末はJpSART-MLでも話題がのぼっていた、RESCUE-3JAPANが岐阜市で開催した、新しいカテゴリーのレスキューライセンスプログラムを受験してきました。

コース名は、I.R.I.A. LOW to HIGH ANGLE RESCUE Level Uってなやつで、認可団体は”International Rescue Instructors Association”というアメリカに本部を置く国際的なレスキュー養成機関です。

そこからレスキューの世界では有名人のJimさんを呼び、RESCUE3 JAPANと合同で、内容的には”Low to High Angle=緩・急斜面”における主にロープワークを使った救助活動訓練のライセンス講習会です。
河川の急流部などは急峻な場所であることが多く、事故現場へ到達するためや実際の救助活動のためにはロープを使ってのバーチカル(垂直方向)なテクニックを必要とする事が多いので、JpSARTにも役立ちそうだし、個人的にも崖からロープ1本で、ぴゅぅ〜っと降りてくる姿を連想したら(笑)面白そうだったので、行って来ました。

実際に丸々3日間ビッチリと組まれたカリキュラムは、初めての経験ばかりで、初日はSRT1と同じように座学とギア紹介、午後は、あいにくの雪混じりの雨になってしまったので、場所をリバーベース長良川へ移して、降りしきる雪の中、ロープのノットやヒッチの勉強、そしてロープとプーリーを使ったメカニカルアドバンテージなどをやり、トレーニング生の宿泊所となった岐阜YHに着いたのは夜の8時過ぎ、復習などやる気もなく(笑)、北は北海道、南は屋久島から集まったトレーニング生だけで、深夜まで宴会が........





翌2日目は、軽い二日酔いの中、午前中にウェビングを使ったハーネスの作り方と、Aフレームの組み方などで、午後からはローアングル=手足を使ってようやく歩いて登れる程度の斜面での訓練です。
1人でならロープを使いエイトカンやムンターヒッチでの上り下りなら普通でも考えられるのですが、斜面下に取り残された要救助者を担架に乗せて斜面の上に安全に運び上げるという課題は勉強になりました。
まずロープワークを使ったメカニカルアドバンテージや、特殊な担架及びAフレームなどを使って、チームワークで引き上げるなど、非常に簡単な道具で、安全にレスキューが出来る事を勉強したのだ。
ちなみにこの日は前日からの寒波が残り、日も当たらない森の中での訓練だったので、訓練生どころか、インストラクターからも多くの風邪ひき者を出すほど寒かったのだ!俺も、もちろん風邪をひいた!!



担架に縛り付けられるの図






最終日は、風邪ひきで頭がガンガンするなか、ハイアングル=垂直に近い壁もしくはオーバーハングでの訓練です。
午前中は高さ10m以上のほぼ垂直の石垣を、ビレー(命綱)を取りながらセンダーとかプルージック等、色々なクライミング道具を使って、一人で降りたり登ったりと、このころには朝飲んだ風邪薬も効き始め、だいぶ楽になったので、すげぇ〜楽しかった。
そして、斜面に取り残された人を、レスキューアー1人が降りて行き、上にいるチームで、上に引っ張り上げたり、下へ降ろしたりと、けっこう体力勝負。
 
午後からは、オーバーハング(橋の上から)の上からレスキューアー1人と担架を降ろし、下にいる要救助者を上にいるチームがメカニカルアドバンテージで引っ張り上げる訓練を。


そして最終科目は、高低差のある2点をテンションを掛けたロープでハイラインを張り、そのラインに両端からコントロールラインを結びつけた大きな滑車にレスキューアー1名が釣り下がり、両端にいるチームでコントロールしながら要救助者に近づくというテルファーシステムを使った訓練です。


3日間で学んだことは非常に濃い内容で、自分自身また一つ間口が広がったような気がしました。
「仮面ライダー....トォ〜!!」っとか言いながら、小さい頃、崖から飛び降りた経験のある人(笑)は、興味が有れば、受けてみるのも良いかも知れませんね。

きっと、しばらくは崖を見ると、ロープを垂らして降りてみたくなる衝動にかられる気がします(笑)


以上、報告でした。長々と御拝読ありがとうございました。



最後に、初日の座学の時にJIMが言っていたことなのだが(正確にはHiroさんが同時通訳していた)、

「人は生まれながらにして2つのポケットを持っている。一つは”経験”という名前の付いた、最初は空っぽのポケットで、もう一つが”幸運”という名前の中身がいっぱい詰まったポケットだ。
人は日々の生活の中、または遊んでいる時などに、ある意味危険な状況になった時に、”幸運”という名のポケットから幸運を使いながら、その代わりに”経験”という名のポケットに色々な体験に基づいた”経験”が少しずつ貯まっていく。
最初のうちは、その危険を回避するだけの”経験”が少ないので、危険な目に遭う回数分”幸運”も同じ数だけ使ってしまうが、”経験”が蓄積されていくと、”幸運”を使う回数も減ってくる。
そして、最終的に”幸運”という名のポケットの中身が無くなった時に、人は命を落とす......」

今回のトレーニングのインストラクターの一人であり、JpSARTの理事長でもある藤原尚雄さんが自身の発行する雑誌、カヌーライフにも書いていたので引用させてもらいながら自分の言葉で説明すると、
ガキの頃、そして今でも遊ぶ時に色々な試行錯誤をしながら楽しんでいる。
「しかし、試行錯誤を楽しむには、多大なリスクを背負い込む覚悟と、そのリスクを回避するサバイバル能力、そして何よりも幸運が不可欠だ。いわゆる”しぶといやつ”である必要があるのだ。」......俺もしぶといかな?(笑)
そして今回のトレーニングのように「その気になれば、そんなリスクを背負うことなくおいしさだけを教授することも可能な時代だ。つまり、幸運のポケットの中身を無駄遣いせずとも経験を得ることが出来るわけだ。」

まったくもってその通りだと思う。今回のトレーニングを通して色々な体験や知識を、俺の持っている”経験”という名のポケットに入れることが出来た。
これでこの先、もうすでにずいぶん少なくなっているだろう(笑)、俺の”幸運”という名のポケットに入っている中身を、少しは使う回数を減らすことが出来るだろう.........(笑)




報告書作成:JpSART理事 富士川広域分駐所所属 ウィリー祐一
写真提供 : JpSART理事  西川茂樹 氏 
記事引用 : JpSART理事長 藤原尚雄 氏
 
 


 

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