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RESCUE-3って知ってます?
レスキュー......少しでも興味を持った方は是非読んで下さい。(長文)



1998年の夏に富士川で残念な水の事故があったのは、ここの伝言板でも報告してあるので中には覚えておられる方もいるかとは思いますが.............そう、我々がその日のツアーを終えて河原でリラックスしているときに、上流で川遊びをしていた少年が流されそのまま行方不明になり、急遽我々も現場に駆けつけて捜索を手伝ったのですが..................

あれからあの時の悔しい思いを行動力に変え、色々な行動をおこしてきました。その一つはレスキューボランティアとして活動できるように市長宛に出した提案書です。
もし水に関する事故が起こった時には行政の各機関と協力して、捜索や救助活動に参加できるように去年の事故後すぐに出したものです、しかし、各機関と調整作業を繰り返してきたわけですが、お互いにこのような要請に応えるだけの経験が無いことや、水難救助にたずさわる者の為の保険がないことなど、障害も多く、良い結果を残せないでいます。

そして、あともう一つは、実際に自分たちの目の前で事故が起こった時の為に、個人レベルの技術やテクニックを磨くことです。
これに付いては実際に川でボートを使っての練習や、ロープ・カラピナ・プリーなどを使って、遊びをとおして練習してきたのですが、やはり客観的に第3者から評価してもらえる基準がほしかったのも事実です。
そこで、世界的な規模で行われている数あるレスキュー技術訓練の中に、水難事故・特に急流などを対象としたレスキュー3プログラムを受験することにしました。

RESCUE-3 SWIFTWATER RESCUE TECHNICIAN
レスキュー3・スィフトウォーター・レスキュー・テクニシャンは、”スィフトウォーター=急流”などで起こる事故に対応したレスキュー訓練カリキュラムです。1979年にアメリカで創設され、アメリカ・ニュージーランド・オーストラリアを中心に全世界で2万人、日本では約500人の資格者が日々起こる事故に活躍しています。資格者が一番多いアメリカでは、消防署員や警察官、森林警備隊など救助活動に直接関わる人々が大半を占めており、カリキュラム自体も画一的な訓練をしているわけではなく、日々進歩するレスキュー技術を、成功した例と失敗した例というように、実際に行われたレスキュー方法を再現し、成功例の多い方法を訓練者に実体験させるといったものです。

レスキュー3の教えの大原則に、
1.セルフ・レスキュー(自分の安全)
2.チーム・レスキュー(仲間の安全)
3.ビクテム・レスキュー(要救助者の安全)

第一はレスキューボランティアとして自分の安全が保てないなら、手を出すな!!です。実際にアメリカでは水に関する災害・事故などで毎年約4千人が亡くなっており、そのうちの約半数が、事故にあった人を助けようとして亡くなっているそうで、助けようとした人までが命を落としてしまうリスクや、逆に助けられる立場になることで、より救助現場を難しくなる事実を理論と実践で教えています。

第二にチームレスキュー、レスキューする側の者全員の安全の確保で、これらが確保されてはじめて要救助者の救助活動に行動を起こせと教え込まれました。

このような原則に基づき、丸一日を費やして、理論的な座学を勉強する中で事故や災害時のレスキュー現場のビデオをいやと言うほど見せられたんですが、失敗した例で登場した要救助者やレスキューする側の人たちの多くが亡くなっている、実際のシーンを見せられた時には、水の怖さを改めて考え直しました。
2日目と3日目は、朝から日が暮れるまで水温10度以下の激流を舞台に、スイム訓練やロープワーク、実際の事故の再現体験など過激なもので、実際に体験したことのないことばかりで、訓練とは言え、ここでの体験は自分にとっては勉強の連続でした。

RESCUE3の基本的テクニックと言えるスローバックを使った訓練。
川の流れる早さと、流されている人の早さとは一緒ではなく、正確に要救助者に向かって投げないと意味がない。

水難救助でもっとも危険とされる「泳いで行く」つまり、流されてくる要救助者に向かって泳いで行き、片手で捕まえ泳いで帰ってくる。
レスキュー側にとってリスクが高いのはもちろん、どれだけ大変なことか身を持って体験する。
レスキュー側が単独でなければ、PFD(ライフジャケット)に付いている、クイックリリースベルトにカラビナでフローティングロープをつなぎ、命綱としてコントロールする。
何らかの事故で、命綱がロックした場合は、PFDに付いたクイックリリースを引けば、レスキューアーがロープから解放される仕組みだ。ただ、通常このようなレスキュー方法は最終手段として用いられる。何故ならば、RESCUE3で教える”セルフレスキュー”自分の安全の確保が難しいからである。
ならばどうするか?この方法以外にも、もっと安全でしかも早く、簡単にレスキューが行える方法を3Sの考えに基づき選択する

3S = Simple + Speedy +Safety
 
 
そして最終日はチームレスキューに重点を置いて、参加者全員でチームを作り、実際に事故現場を想定してのレスキュー訓練です。たとえばあなたが水に関して何が危険なのか知識が有ったとして、水難事故現場に遭遇したと考えて下さい。
あなたの廻りに水の怖さを知らない野次馬が20人と、その川に関して知識の豊富なレスキュー3テクニシャンが3人いたとしましょう......さて、あなたはどちらのグループに先に声をかけ、手助けを求めますか?

わたしはもちろん後者です。救助活動をする為のチーム作り、実際にチーム内での役割や各人の動きなどを実際の体験の中で学び、これらの大切さを痛切に感じたのでした。そしてこれら全ての実技訓練が終わったのは夜の7時。さてさて最後にペーパーテストです。毎晩酒を飲むのをひかえて復習していたおかげで、優秀なる成績!?でなんとか合格することが出来ました。
この写真は、テンション・ダイアゴナルのトレーニング風景です。



下のアニメーションにも説明が乗っていますが、川の流れる方向に対して45度以下で、テンションを掛けたロープを張り、上流から流れてくる要救助者を助ける方法です。

これ以外にも、写真で言う向こう岸の崖で孤立している人達を、こちら側のストロングサイドに移動させる方法としても有効です。
ストロングサイドとは、レスキューアーが大勢いる側、道路へのアクセスが出来る側、救急車が要救助者を搬送できる側と考えてください。

これに対して、川の流れる方向に対して直角(普通に横断するように)にロープを張ると、水流の圧力でロープは川の真ん中でたるみ、要救助者がこれにつかまると、要救助者を頂点にV字型になってしまっい、どちらの岸の方向にも動けなくなってしまいます。
テレビなどで良く放映される救助シーンで見たことがある人もいるかも知れませんね。
 
 
テンションラインを張る方法として大勢の人がいない場合、簡単な道具を使ってメカニカルアドバンテージを組んでやれば、一人の力を何倍もの力にすることが出来ます。

写真の赤いジャンバーを着ている人がつかんでいるのがメインロープで、大木に結んだアンカーに、エイト環を使ったブレーキシステムを組み、4:1のPigRigシステムを使ってテンションを掛けようとしているところです。
 
メインロープにプルージックを介して、2つの滑車を使ったPigRigシステムで引いているところです。
写真では男性2名、女性3名で引いていますので、夫々が強く引く力を男性が50kg、女性が30kgと想定すると
(50×2+30×3)=190kg となります。
これにメカニカルアドバンテージ分で4倍とすると、760kgまでロープにテンションをかけることが出来るというわけ。

下記のさし絵の矢印の方向が1とすると、左端の■には、2つのプーリーで倍加された力が働くので4倍の力となります。
テンションをかけて張ったメインロープに移動可能なプーリーに左右からのコントロールラインをつないで、ハイラインチロリアンを組んだところです。
 

最後にこの”レスキュー3”のライセンスを取ったからと言って水難救助に関してプロになったかと言えばその答えは、”ノー”です。あくまでここでは訓練を行っているだけで、以後の「反復練習」、そして、実際に事故現場に遭遇することによって得られる「経験」、そしてその場所で下さなければならない「判断」これらを繰り返すことによって、はじめてこの技術は生かされてくるのだろうと考えています.......えらそうなことを書いてきましたが、全然関係ない人にとっても、一生のうちで一度ぐらい、もしかしたらそんな状況におちいるかもしれない.......そんな時に上に書いた3原則を思い出すと良いかもしれません........

最後に「RESCUE 3についてもっと知りたい!!」という方や、実際に自分もライセンスを持ちたいという方は下記までお問い合わせ下さい。

RESCUE 3 JAPAN

郵便番号500 岐阜市月丘町5−13 アウトドアサポートシステム内

TEL 058−248−4711

     







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1999/8/14に起こった水害事故について

1999/8/31追加