GT Ruckus i-Drive 1.0

納車後のモデファイ

2002年5月20日

今回は細かなブレーキラインのフィッティングと、”サグ”出しをしました。
 
左の写真を見れば解りますが、フロントフォークの写真向かって右側に、油圧ディスクブレーキのラインがはみ出しています。このままだとトレッキング中に木の枝などに引っかかってしまう事も考えられ、特に重要なブレーキラインなので破損を防ぐために対策を施します。
 
と言っても、ちゃんとそれ用のブレーキラインガイドが有るので、写真右側のパーツをタイラップで取り付けるだけでOKです。
 



上の写真がブレーキラインガイドを取付後です。
フォークの後側にブレーキラインが来るようにフィッティングしました。






続いてリアサスの”サグ”出しです。
モトクロスなんかをやっている方には一般的ですが、普通のライダーでは”サグ”と言っても解らないですよね。
もともとサスペンションはストロークする事によって仕事をしているのですが、例えば体重100kgの人と50kgの人では、バイクにまたがって体重がかかった状態での沈み込み量が違いますよね。
一般的にMTBでのダウンヒルの場合、人間がまたがってシートに体重を預けた静止状態で、サスペンション総ストローク量の20%から30%沈み込むのが最適とされていますが、ライダーによって体重はまちまちであり、その調整をすることを”サグ出し”と言います。

本来そのサスが持っているストロークのうち、解りやすく言えば一番仕事のやりやすい場所って物があるんですが、例えば体重100kgの人がまたがった場合、普通に静止して乗っているだけでサスストロークの50%を使ってしまっていたとすると、実際の走行状態では、地面からの衝撃を残りのストロークだけではまかないきれず、いわゆるサスの”底付き”状態となってしまい、それ以上サスペンションが仕事を出来なくなってしまいます。
反対に体重の極端に軽い人が乗った場合は、ほとんどサスが縮まず、サスペンションの”延び側”のストロークを有効に使えない事になってしまいます。
もともと自転車自体が軽い事もあり、1G(無荷重でバイクを垂直に立てた状態)ではまったくストロークせず、1G’(ライダーが乗車状態)で、ある程度サスを沈ませ、サスペンションの延び側ストロークを稼いでいるのが現実なので、体重が軽いと、こういう事が起こります。
そして、この自転車自体が軽いということは、体重差によって影響されるサスペンションの仕事量も、バイクと自転車とでは差が大きく、結果的に自転車のサスセッティングはシビアに”サグ出し”をしないと、まともにサスペンションが働いてくれないのです。

1.体重70kgの場合で、自重の重いバイクと、軽い自転車で比較してみると
自転車の場合
●自転車の乾燥重量14kg + ライダーの体重70kg = 84kg
  70kg ÷ 84kg = 83.3%
バイクの場合
●バイクの乾燥重量120kg + ライダーの体重70kg = 190kg
  70kg ÷ 190kg = 36.8%
影響差 46.5%
上の結果のとおり、もともと車重が軽い自転車の場合は、装備重量(バイク+人間)に占める、ライダーの体重の割合が大きく、言い換えれば人間の体重分がほとんど(83.3%)で、乗車するライダーの体重の差が、もろにサスペンションに影響します。



2.上の条件に体重差20kgの場合で、自重の重いバイクと、軽い自転車で比較してみると
自転車の場合
●自転車の乾燥重量14kg + ライダーの体重70kg = 84kg
  70kg ÷ 84kg = 83.3%
●自転車の乾燥重量14kg + ライダーの体重50kg = 64kg
  50kg ÷ 84kg = 59.5%

体重差の影響 23.8%
バイクの場合
●バイクの乾燥重量120kg + ライダーの体重70kg = 190kg
70kg ÷ 190kg = 36.8%
●バイクの乾燥重量120kg + ライダーの体重50kg = 170kg
50kg ÷ 170kg = 29.4%

体重差の影響 7.4%
上の結果のとおり、もともと車重が軽い自転車の場合は、装備重量(バイク+人間)に占める、ライダーの体重の割合が大きく、ライダーの体重差による影響がバイクでは7.4%しか影響を受けないのに対し、自転車の場合は体重差の影響が23.8%にもなってしまい、乗車するライダーの体重の差が、もろにサスペンションに影響します。
もちろんモトクロッサーなどのレース用バイクでも、サスの動きを最適化するために”サグ”は重要なのです。
 
これを俺のラッカスに当てはめると、リアサスペンション本体の総ストローク量が44mmで、推奨サグ値が25%の11mmです。
ちなみに今回は約27%の12mmにセットします。

無荷重状態の1Gでのショック全長が190mmなので、1G’でのショック全長は

190mm − 12mm = 178mm

となるようにセッティングするのですが、どのように調整するかと言えば、
 
サスペンションのダンパー外筒にはネジが切ってあり、赤い矢印が示す”イニシャルプリロードアジャスターリングでスプリングを固定しています。
1G’でサスが入りすぎる様なら、イニシャルアジャスターリングを回転させて締め込み、青い矢印の方向にスプリングをあらかじめ縮めて、標準値よりも見かけ上バネに荷重を与え(反力)、1G’でのストロークを減らします。


例:10kgの荷重で1センチ縮む全長10センチのスプリングがあったとする。体重70キロでは7センチ縮むが、このサスペンションの推奨サグ値が50%の5センチだったとすると、スプリングをあらかじめ2センチ縮めてセットし、20キロ分の反力を与えてセットしておけば、70キロの荷重がかかっても見かけ上5センチしか縮まない。
 
俺の場合は、イニシャル0mmだと、サスが少し入り気味になるので、イニシャルプリロード1回転と3/4で、ストローク12mmとなりました。
もちろん一人では作業できないので、俺がまたがった状態で、友人にスケールの目盛りを読んでもらい、イニシャルを調整します。

ちなみにこのショックの場合、イニシャル2回転と1/2以上プリロードを掛けなければサグが出ないようなら、そのスプリングの守備範囲を超えているという事で、バネ定数が大きい”固い”スプリングに変えなければなりません。
逆に体重が軽くて沈まない場合は”柔らかい”スプリングに変えてやる必要があります。
 
 



     
     

 

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