静岡県警本部主催・水難救助合同訓練・見学報告

静岡県警本部災害対策課主幹

2000年 8月 8日 富士川町地先 富士川右岸川原にて

JpSART見学参加:西川、雨宮、ウィリー祐一、佐野文洋、佐野達也

参加者が講師の指示に従ってボートを組み立てているところ。ほんとんどの参加者が初めての組立経験となるようだ。船外機使用が前提のボートであり、組立式の船底板により、ネジレ剛性は高そうだ。

 

ボートサイドには炭酸ガスを使った予備タンクが備わり、エア漏れに備える。


パドルはTグリップが付いていない組立式であり、パドルのブレードの部分は20センチほど。
基本的には船外機を動力として考えられているようで、パドルは非常時用として考えられている様子。

 

火薬を使って救助用のガイドロープを飛ばす事の出来る、ロープガン。銃身には「機動隊備品」と書いてあった。


静岡県下全29署にロープガンが1セットずつ配備されている模様。

 

弾頭は直径4センチ長さ15センチほどの金属製で、中には火薬が装填されており、銃身底部に装着する雷管で発火させ、火薬の爆発力ではなく、燃焼力によってロケット噴射によって飛んでいく。有効射程300m。


今年度配備されたばかりの最新式救助用具。T型とU型の2種類の弾頭とスローバック3本他、圧搾空気充填用のカーボン製エアタンク等で1セット。商品名RescueRocket

U型は救助ロープを飛ばすだけ、T型は救助ロープと共に自発膨張型浮力体を飛ばすことが出来る(有効射程40m程と説明を受ける)

どちらも圧搾空気を弾頭に充填して、それを噴射させながら飛んでいく。

 

弾頭には着水すると発光する装置が組み込まれており、夜間であっても、着弾位置(要救助者の位置)が確認できる。


今回の水難救助訓練で使用していたライフジャケット。
機動性に富んだレスキュー用の専用品を紹介する必要を感じた。

 

要救助者が自力で歩いて中州(訓練想定)へ
救助訓練開始。


まずは火薬式のロープガンでメインロープのガイドラインを飛ばす。めちゃくちゃ飛びました!
着弾位置は200m程離れた岩本山中腹に!!!

 

ガイドラインはナイロンクロスチューブ平編みのスペクトラで、幅5mmぐらい。

使い捨てと思われる。


メインロープはいわゆる普通の「作業ロープ」で太さは18mmぐらいだろうか。表面は赤く塗られていた。
おそらく熱に強く耐久性も有るということで今でも使われているようだが、川で使う以上、レスキュー用のフローティングロープか、強度に優れたスタティックなど専用品を紹介する必要を感じた。

 

ガイドラインにメインロープを結びつけ、人力で牽引。


川幅が広くて有る程度流れがあるので、かなり苦労している様子だった。
ウィークサイドではテトラポッドの足にアンカーを取っていた。

 

最終的なテンションはストロングサイドで、メインロープを直径20mm程のワイヤーウィンチで。


ロープガンで2本目のガイドラインを飛ばし、約5m程の間隔に鉄製カラビナを結びつけた補助ロープを結びつけ、メインロープにカラビナをかけながら、徐々に送り出していく。補助ロープには先ほどのライフジャケットと、浮き輪を付けて送り出す。

 

川の流れの影響でメインロープが真ん中でたるむ。


要救助者確保

 

続いて最新型の訓練


圧搾空気を吹き出しながら、勢い良く飛んでいく。

 

水面に着弾と同時に小型の炭酸ガスボンベから供給されたガスにより、浮力体が膨らむ。



RescueRocket販売元より詳細情報

新成物産:宮本氏提供

1.弾頭の種類

弾頭T型が、救命浮き輪(浮環)をを装備した弾頭
弾頭U型が、救命索を敷設する弾頭

2.飛距離

弾頭T型の飛距離はおよそ70m
弾頭U型の飛距離はおよそ130m
※当然これは発射時の条件(風、発射角度)によって変わります。

 



3.索の素材について

救命浮き輪(浮環)と救命索を接続している細いラインの仕様は次の通りです。
サイズ 2×4mm
材質 スペクトラ1500
強度 680Kgf

救命浮き輪と接続されている長いロープの仕様は次の通りです。
サイズ φ4.5mm 長さ150m
材質 スペクトラ3000
強度 1,360Kgf


救助完了。弾頭はこんな感じで、浮力体は直径10センチ長さ1.2m程の輪状。

 

スローバックの投げ方練習会もやっていた。
長さ10m直径9mmのフローティングロープを使用。




 

もどる